俳優としての安田章大

普段私は余程好きな俳優さんが出演しない限り、医療系ドラマは決して観ない。それは、医療系スタッフのやり取りとか患者さんへの対応とかが理想で固められているようにしか見えなくて、観てると「どうしてそこでそうなる!?」とつっこみたくてずむずしてくるからである。ドラマは娯楽だから現実と多少異なっている方が楽しめるものだろうけど、自分はどうもあの感じに慣れないんだな。でも刑事ドラマはしっかり好き。

フラジャイルは長瀬智也さんが偏屈なイケメン天才病理医に扮して、重んじるべきものは医療の正義と患者の命ということで、変人ながらも病気と全力で向き合っていくドラマである(と思っている)。長瀬さんが主演ということでにわかジャニファンとしては気になってはいたが、先程も言ったように「医療系ドラマが苦手」かつ「長瀬さんの演技が好みではない」ことからいつものようにスルーしていた。


そんな私だけど、関ジャニ∞の安田章大が余命1年の保育士役で出演するということで、2月10日放送のフラジャイル第5話だけは観てしまった。


関ジャニ∞の安田といえば、作詞作曲、安定した歌唱力、演技、なによりeighterの心を掴んで離さないその人柄の良さや可愛さ格好良さを兼ね備えた男版才色兼備な人である。


よくジャニーズがドラマに出ていると「これ全然観れたもんじゃないな」という演技をする人が多い。(タイムリーに思いつくのは個人的に「黒崎くんの言いなりになんてならない」の中島健人くん。彼の演技はハラハラしてしまう)なので世間一般的に「ジャニーズの奴等の演技なんてお遊戯」というフィルターがかかってしまうのである。実際私もそうだったから、ジャニタレ出演のものは観ないように避けていたくらい。(今なら言いたい、ごめんなさい)そんな中でもやっぱり嵐の二宮さんが出てきた「硫黄島からの手紙」にて「おっ…この人すごい」と感動したのを発端に、密かに「ジャニタレでもこんだけいれば他にも演技力のある人がいるのではないか」と探し続けて発見したのが、二宮さんまでは及ばないものの安田章大。


完全にど素人の勝手な個人的意見だけど、演技って「役者が演じてる!」感をオーディエンスに与えるかではなく、オーディエンスがあたかもその場面に役者とともにあるかのような錯覚を与えることができるかだと思っている。なので役者同士が普通に会話して、共鳴しあっているかのように進めていく演技が一番演技らしいなと。そういう演技ができるうちの一人に安田くんも入ってるなあと。だから観ていて、その役の心情にすんなり入っていける。

よく安田くんは「原作や脚本と自分の経験値を踏まえて、僕なりのお芝居をしたい」的なことをおっしゃる。2016年のGW公開の「スキャナー-記憶のカケラをよむ男-」について触れたときもたしかこんなこと言っていた気がする(曖昧w)おそらくこうした台詞は誰でも言いがちであるとは思うが、安田くんについての知識をある程度持ってる私からしたら、安田くんらしいなあと思う。安田くんには何でもマルチに、ある一定のレベルまではこなす器用さが備わっている。そして仕事仕事で「今はアイドル」「今はクリエイター」という風に自分の中でタスクを上手に使い分けてコントロールすることができる、とても賢い人である。そのため、自分はどんだけこの人(役)になれば良いのか、自然と「役 対 安田章大」になりそれ以外の肩書きを捨てにかかり、真剣になる。比較することはしなくないが、大倉忠義のように「俺、本当はこんなんじゃないし、こんなことして恥ずかしいよおお」なんて言ってたらお芝居にならない。そういう意味で真面目に台本と向き合う安田くんだからこそ、こういう発言が随所でみられると考える。


今回のフラジャイルでは、諦めと夢とで心中葛藤する保育士を見事に視聴者に伝わるように演じていて、しっかり感動へと持っていき、安田くんに出せない表情芸も一役買っていた。表情で色々な場面や心情を語れるというのは結構な武器ではないだろうか。がん患者ということで、がん患者らしさも出しつつ役になりきることができていてとても良かったということで、過去の「ばしゃ馬さんとビッグマウス」をついつい取り出してきてしまった。

この時の天童もなかなか良くて、安田くんが本当に天童のようにしょーもない男にしか見えてこなくて感動して涙してしまったことが忘れられない。保育士とビッグマウス野郎は全く似ても似つかない役柄であるが、安田くんはどちらも視聴者を物語に引き込んでくれたことを考えると「ヤス、数少ない演技経験の中からよくこんなに引き出し増えたなあ」とため息がでる。(「自転車少年記」は、あれは演技への洗礼だと思っているから、あそこからこれだけ成長したことがものすごく感動を呼ぶんだよ。)


関ジャニ∞の安田くんは世間的に知名度がなかなか上がっていかないようであるから、こうしたドラマなど演技の仕事(舞台やって下さいお願いしますeighterは待ってますいつでも)を今後も引き受け、引き出しを更に増やして、アイドルとは別の俳優としての安田章大も確立していって欲しいと思っている。業界の人よ、フラジャイル第5話はファン以外の方にも好評だったようだし、一般の人にもっと彼のキャラクターの良さを広めていきたいから彼にじゃんじゃん演技の仕事ください。


wrote by からす


楽しいことして生きていたい

素晴らしいものは全力で応援し愛でていきたい、そんな離島の女子大生。

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